スプレーチャンバーのメンテナンスについての一般注意事項

ガラス製および石英製スプレーチャンバーのメンテナンス

大切なお願い

 HF酸(フッ酸)はガラスもしくは石英製の製品にはご使用にならないでください。どんなに弱いHF酸であっても、製品に損傷を与える結果に繋がります。弊社製スプレーチャンバーは出荷前に十分洗浄が行われておりますので、HF酸による予備洗浄の必要はございません。また、チャンバー内部にお触れになりますと、内壁の性能に影響が出る恐れがありますので、ご注意ください。

お取り扱い、保管や輸送について

 Glass Expansion 社製HF耐性スプレーチャンバーは樹脂製ですが、それ以外の幣社製チャンバーはBorosilicateガラスもしくは石英製となっております。従いまして、そのお取り扱いに際しましては、他のガラスウエアと同様のご注意をお願いいたします。硬い物にぶつけたり、ご使用でないときにキャップ等の保護具無しに放置することの無いようにご注意ください。

 ガラスは壊れやすく、その鋭利な先端でお怪我などなされないように、慎重かつ繊細なハンドリングをお心がけください。特にチャンバーへのチューブ配管やネブライザーの取り付け時には強い力が加わらないようにご注意をお願いいたします。ご使用になられないときには、必ず付属のキャップを取り付けて保管してください。

 スプレーチャンバーのメンテナンスには、金属ブラシなどの固いものはご使用にならないでください。

日常のメンテナンス

 ガラス製スプレーチャンバーをご使用いただく際には、ご使用前とご使用後に毎回、弱酸性ブランク溶液による数分間の洗浄を行ってください。このことで、乾燥後チャンバー内部に結晶等が発生するのを防ぐことが出来ます。超音波洗浄器は決してご使用にならないでください。

クリーニング

測定時に精度や検出下限の劣化が見られるようになりましたら、スプレーチャンバーを洗浄液 (FLUKA RBS-25,25%濃度など)で浸け置き洗浄してください。汚れが軽い場合には、2.5%溶液に15分程度で十分な効果が得られます。それで効果が得られません場合には、最高25%までの洗浄液で一晩浸け置きされることをお勧めします。

スプレーチャンバー内壁に水滴が見受けられるようになったら、ICP測定の安定性に問題が出始める兆候です。これは最も頻繁に起こり得るチャンバーのトラブルで、上記25%濃度FLUKA RBS-25(FLUKA25)等の洗浄液を使用して、チャンバー内部の洗浄を行う必要があります。

時間帯によって、または季節によってICPの感度が変化すると言う現象が見られる場合、スプレーチャンバーの温度変化による影響が考えられます。 チャンバーの温度が1度変化するとICP感度は1%変化すると言う報告もあります。電子的にチャンバーの温度を正確にコントロールできるIsoMist温調チャンバーのご使用が最も効果的な解決方法です。

樹脂製スプレーチャンバーのメンテナンス

 Glass Expansion 社製のPTFEおよびPFAスプレーチャンバーの内面には表面の濡れ性を高めドレインの排出を良くするための特殊処理が施されています。これは薬品的なコーティングではなく、PTFEおよびPFAの分子構造に変化を持たせる事で行われており、表面の色は茶色に変色していますが、このことによるコンタミネーション等の問題はございません。

 長くご使用いただいておりますと、表面処理による色は少しずつ薄くなってきます。表面処理の寿命はスプレーされるサンプルの内容により大きく異なります。
PTFEおよびPFA製スプレーチャンバーを最高の状態に保つために以下のポイントをお勧めしております。

重要なお願い : Glass Expansion 社製の樹脂チャンバーの内表面には濡れ性を高めるための特殊処理が施されています。処理面は変色はしておりますが、コンタミネーションと言った問題はございません。上記性能を劣化させる恐れがございますので、スプレーチャンバー内表面には決してお触れにならないでください。