ICP-MSコーンのメンテナンス

メンテナンスの頻度

 MSコーンのクリーニングの頻度はアプリケーションと装置の運転時間に大きく依存しています。試料が比較的きれいなもので装置の運転時間も短い場合、月に一回程度のクリーニングで十分と考えられます。しかし、装置が常に連続運転され試料の塩濃度が高い場合や薬品性が強い場合には、コーンは毎日クリーニングを行う必要がある場合もあります。

 コーンはオリフィス周辺に明らかな汚れが見受けられる場合やオリフィスが詰まっていたり変形したりしている場合にもクリーニングを行う必要があります。ICP-MSデータの悪化が見られる場合にもコーンはクリーニングが必要です。典型的な例としては、バックグラウンドの上昇、メモリーの増加、感度の低下やデータピーク形状の変化などが挙げられます。検出器部分の真空度の変化もコーンの状態により引き起こされる場合があります。コーンのオリフィスが詰まると、真空度は高く(圧力は低く)なります。通常はそれ以前にICP-MSデータの悪化が見られます。真空度が低く(圧力が高く)なりました場合には、コーンのオリフィス部分が消耗しオリフィスが拡がっていることを示しています。この場合、コーンは交換の必要があります。

 サンプリングコーンはプラズマに接していますため、通常はスキマーコーンに比べてクリーニングの頻度は高くなります。コーンのクリーニングを行ってもICP-MSデータの向上が見られない場合には、交換の必要があります。

クリーニングでの洗浄剤

 洗浄の方法もアプリケーションによって異なります。試料が比較的きれいなものの場合、洗浄液も優しいもので十分です。しかしながら、試料の塩濃度や薬品性が高い場合にはより強力な洗浄が必要です。Citranoxのような液体洗浄剤は優しくかつ効果的で、第一段階としてのご使用をお勧めしています。十分な洗浄効果が得られない場合には、より洗浄力の強い硝酸などを使用する必要がありますが、出来る限り使用を控えられることをお願いしています。より強力な洗浄剤による長時間の洗浄はコーンの寿命も短くしてしまう可能性があるためです。例えば銅材料はCitranoxにでさえ侵食を受けてしまいます。濃度の高い洗浄液での洗浄や長時間の洗浄は行えません。
また、コーン上にネジ穴がある場合には、硝酸が触れないようにご注意ください。
本洗浄の前にFluka RBS-25 (FLUKA25) のような界面活性剤入りの洗浄剤で浸け置き洗いをされることで洗浄の効果を高めることも可能です。
CitranoxはAlconox Inc社(www.alconox.com)の製品、Fluka RBS-25はSigma-Aldrich社の製品で、共に一般的に販売されているものです。

クリーニングの方法

 ご注意;安全メガネと手袋を常にご使用ください。コーン先端部分は大変繊細ですので、お取り扱いにはご注意ください。先端部分を洗浄する場合には外周部分を軽く手で支え、洗浄には決してブラシのような硬い道具をお使いにならないでください。

 洗浄は必ずしも新品時のような状態にまで行う必要はありません。試料からの析出物は取り除く必要がありますが、コーン自体が変色していても通常問題はありません。新品から適度に変色したコーンがより安定した状態を提供します。

 以下に3つの洗浄方法例を、簡単で優しいものから最も難しく強力なものの順に、挙げています。

A. Citranoxでの浸け置き - アプリケーションにより毎日もしくは毎週

  1. Fluka RBS-25の25%溶液に一晩浸け置きする。
  2. 脱イオン水で濯ぐ。
  3. Citranoxの2%溶液に10分間浸け置きする。
  4. 溶液中で柔らかい布かティッシュで汚れを拭き取る。
  5. 脱イオン水で濯ぐ。
  6. 脱イオン水に2分間浸け置きし、Citranoxを完全に取り除く。
  7. 新しい脱イオン水に交換し、6の作業を最低でも計3回行う。
  8. 脱イオン水で濯ぎ、アルゴンもしくは窒素ガスで十分に乾燥を行う。60℃に設定したラボオーブンでコーンを完全に乾かす。

B. Citranoxでの超音波洗浄 - アプリケーションにより毎日もしくは毎週

  1. Fluka RBS-25の25%溶液に一晩浸け置きする。
  2. 脱イオン水で濯ぐ。
  3. コーンの先端部分を傷めないように十分に注意を行い超音波洗浄を行う。(洗浄槽に直接コーンを置かない。) 例) 洗浄を行うコーンとCitranoxの2%溶液をジップ付きビニール袋に入れ、洗浄水で満たされた洗浄槽の底や横壁に接触しないように吊り下げ超音波洗浄を行う。このことにより、洗浄液の消費量も抑える事が出来る。複数のコーンを1つの袋には入れない。また、コーン同士が接触する事も避ける。
  4. 超音波洗浄を5分間行う。
  5. 溶液中で柔らかい布かティッシュで汚れを拭き取る。
  6. 脱イオン水で濯ぐ。
  7. Citranoxを脱イオン水に交換し2分間超音波洗浄を行う。
  8. 新しい脱イオン水に交換し、7の作業を最低でも計3回行う。
  9. 脱イオン水で濯ぎ、アルゴンもしくは窒素ガスで十分に乾燥を行う。60℃に設定したラボオーブンでコーンを完全に乾かす。

C. 硝酸での超音波洗浄 - アプリケーションにより毎週もしくは毎月

  1. Fluka RBS-25の25%溶液に一晩浸け置きする。
  2. 脱イオン水で濯ぐ。
  3. コーンの先端部分を傷めないように十分に注意を行い超音波洗浄を行う。(洗浄槽に直接コーンを置かない。) 例) 洗浄を行うコーンと硝酸の5%溶液をジップ付きビニール袋に入れ、洗浄水で満たされた洗浄槽の底や横壁に接触しないように吊り下げ超音波洗浄を行う。このことにより、洗浄液の消費量も抑える事が出来る。複数のコーンを1つの袋には入れない。また、コーン同士が接触する事も避ける。
  4. 超音波洗浄を5分間行う。
  5. 柔らかい布かティッシュで汚れを拭き取る。
  6. 脱イオン水で濯ぐ。
  7. 硝酸を脱イオン水に交換し2分間超音波洗浄を行う。
  8. 新しい脱イオン水に交換し、7の作業を最低でも計3回行う。
  9. 脱イオン水で濯ぎ、アルゴンもしくは窒素ガスで十分に乾燥を行う。60℃に設定したラボオーブンでコーンを完全に乾かす。

 上記の溶液名やその濃度また洗浄時間や回数は一般的なコーン洗浄の目安です。お客様のアプリケーションや試料により最適な洗浄方法は異なります。硝酸溶液はコーン自体を侵食する場合もございますので、ご使用は最低限にお控えください。硝酸溶液の使用によりコーンのオリフィスが拡がってしまう場合がございます。オリフィスが拡がったり、コーン先端部分が傷ついたり変形したりした場合には、コーンの交換が必要です。

ConeGuardスレッドプロテクター

 ねじ山の付いたコーンを洗浄する際、そのねじ山が薬品性のある溶液に接しないように留意する事が必要です。ねじ山部分が腐食してしまいますと、シールが 不十分になったりベースに付着し取り外しが困難になってしまいます。また、白金コーンの場合、白金部分の寿命が来るよりも早くねじ山部分が使えなくなって しまいます。

ConeGuardスレッドプロテクターはコーン洗浄時にねじ山部分を完全にシールし、腐食を防ぎます。詳しくは ConeGuard Thread Protector をご覧ください。

Agilent ®社サンプラーコーン用ConeGuard

プラチナコーン

 上記の洗浄方法はニッケルコーンのみならず、プラチナコーンでも共通です。プラチナはニッケルに比べて耐薬品性に優れておりますので、通常クリーニングの頻度は低くなります。プラチナコーンはニッケルや銅のベースにプラチナを組み合わせた構造となっておりますため、ニッケルや銅を侵食する薬品は洗浄にはお使いいただけません。プラチナコーンはより高温となりますため、析出物も付きにくい傾向にあります。プラチナコーンの製品寿命は通常ニッケルコーンより格段に長く、(状態により)再研磨による再生も可能です。

 GE社ではプラチナコーンの無料再研磨を承っております。しかしながら、オリフィスが消耗し内径がとても拡がってしまっております場合や、先端部分が酷く傷んでおります場合には、再研磨による再生が不可能な場合もございます。その様な場合には、純粋にプラチナ材料としての買い取りをさせていただいております。

 MSコーンに関しましてのご質問等は、日本語にてお気軽にjpnenquiries@geicp.comまでお寄せください。

お客様からのコメント

We use tons of GE stuff in our lab. I am very satisfied with everything, especially the ICP-MS cones we recently purchased. Keep up the great work!

Nutritional science laboratory - USA

Thank you so much for repairing our 2 skimmer cones. I was so happy when I received those two repaired skimmers, shiny like brand new. Thank you!! Everyone in the lab actually impressed by the work and this service. We all think this service deserve a star, and a thanks card.

Clinical laboratory - Australia